韓国言論人訪日視察団と日本の有識者・専門家が交流懇談会

昨年4月の南北首脳会談、同6月、今年2月の米朝首脳会談など、東アジアと朝鮮半島情勢が大きく動くなか、地域の平和と安定にとって不可欠である日韓関係は依然、冷え切ったままです。

こうしたなか東京都内の会場で5月21日、「日韓トンネル推進 議員・有識者・韓国言論人懇談会」が行われました。

日韓トンネル視察ツアーで来日した韓国言論人40人をはじめ、日本の議員、有識者、専門家を含め約70人が参加した懇談会は、1981年に文鮮明総裁が提唱した「日韓トンネル・国際ハイウェイ構想」を受け、82年から日本で進められてきた日韓トンネル推進運動について振りかえるとともに、トンネル建設が両国関係に果たす役割について、相互理解を深める目的で開催されました。

冒頭、一般財団法人国際ハイウェイ財団の徳野英治会長があいさつ。徳野会長は、北朝鮮の核問題の解決や朝鮮半島の平和的統一の実現には、自由と民主主義の価値を標榜する日米韓の連携が不可欠と強調しました。

韓国訪日視察団を代表して、朴埈賢(パク・ジュニョン)慶北新聞社長があいさつしました。朴社長は佐賀県の調査斜坑の視察を通じ、日韓トンネル実現に向けた両国の取り組みが和解の場になると実感したと感想を述べました。

両国の関係者、参加者のあいさつに続き、日本の有識者、専門家がそれぞれの立場から日韓トンネルについての知見を述べました。

「日韓トンネル推進全国会議」の会長を務める宇野治会長(元衆議院議員)は、2010年6月に鹿児島からスタートした県民会議が18年までに全47都道府県で結成され、全国会議として国民世論の喚起に努めている様子を報告。今後、韓国においても民間レベルの運動の拡大に期待を寄せました。

続いて、国際政治学、安全保障の専門家が「日韓トンネル建設に向けて:その意義と重要性」と題して講演し、日韓トンネルは両国に経済効果をもたらすだけでなく、両国の傷を癒やす「心のトンネル」になるだろうと強調しました。そして、プロジェクトに大きな困難があればこそ、両国がしっかりと手を携えて取り組むことで絆が深くなるはずだと訴えました。

講演に続いて懇談の時間に移り、参加した韓国言論人から発表者に質問や意見が寄せられました。

その中で、国際的な関心が集まる2020年東京オリンピックの機会を捉え、日韓新時代を象徴するプロジェクトとして日韓トンネルを取り上げるべきであり、そのために日本のメディアの役割が重要といった前向きな意見が出されました。

また、「韓国の国民の中には、日韓トンネルは日本の大陸進出を目的としたものではないかとの懸念があるが」との問いに対して、日本の専門家は「戦前の日本で計画された『弾丸列車構想』(※)を心配されているのかもしれないが、そうしたことを意識している日本人は一人もいない」と強調した上で、「日韓トンネルは経済、文化、観光などの面で両国に大きな価値をもたらすと信じている」と述べました。

懇談会の最後に、UPF-Japanの梶栗正義会長があいさつしました。梶栗会長は、自身の11年間にわたる韓国留学の経験を踏まえ、「日本を愛しているのと同様、韓国を第二の故郷と感じる立場からは、どちらかを選べと言われても難しい」と述べました。一方で、現在の日韓両国民については、「交流が活発になり、外見もよく似ている両国だが、真の相互理解はまだまだ深まっていない」との考えを示しました。その上で、日韓トンネルを世界平和の起点となるプロジェクトとして取り組み、両国間に、許し、愛し、助け合う関係を築いていくことで、世界にアジア発の和解のモデルを提示しようと訴えました。

※弾丸列車構想〜1930年代に計画された日本の高速鉄道計画。東京〜下関間で高速運転を行おうという計画で、将来的には「大東亜縦貫鉄道構想」として朝鮮半島への直通が構想されていた。