欧州国連本部で「世界諸宗教調和週間」記念行事

国連「世界諸宗教調和週間」(毎年2月第1週)を記念する専門家会議が1月31日、オーストリア・ウィーンの国連欧州本部で開催され、国連外交官、宗教指導者、NGO指導者など約200人が参加しました(=写真上)。「信仰をベースとした組織と持続可能な開発目標(SDGs)」をテーマに開催された会議は、国連薬物犯罪事務所(UNODC)、オーストリアのNGO「Crowth4Peace」、ウィーン国連特派員協会(UNCAV)に加え、UPFとその2つの関連団体である世界平和女性連合(WFWP)と世界平和青年学生連合(YSP)の6つの団体の共催で実現したもの。

会議の冒頭、UPFオーストリアのピーター・ハイダー会長が歓迎の辞を述べた後、第1セッションでは、「宗教間協力、平和構築、そして犯罪予防」をテーマに議論が行われました。

UNODC政策分析・広報ディレクターのジャン=リュック・ルメイユ氏は、2010年の第65回国連総会・開会総会におけるヨルダン国王のアブドゥッラ2世の演説内容を取り上げ、同国王が「世界諸宗教調和週間」について、「人類はただ相互の利益だけでなく、神と隣人を愛するという共通の教えによって、一つに結びついていくのである」と強調したことを紹介しました。

また、マンスール・アハマド・カーン駐オーストリア・パキスタン大使は、1948年にパキスタン建国の父であるムハンマド・アリー・ジンナ総督のメッセージを紹介。

「パキスタンでは誰でも自由に寺院に行くことができる。モスク(イスラム教の礼拝所)や、その他の信仰を捧げるための場所にも。いかなる宗教、カースト(ヒンドゥー教に基づいた階級制度)に属していても、信条を持つことができる。このことを、国家が制限するべきことではない」。

同大使はその上で、印パ間をビザなしで通過できるカータープル回廊やヒンドゥー教寺院の修築事業など、現在、パキスタンで取り組んでいる宗教調和に関する事例を紹介し、極右が台頭する現在、宗教とテロリズムの連鎖について議論し、統合と融合への道を模索すべきだと訴えました。

第2セッションでは、ウィーン大学・イスラム神学研究所の所長を務めるゼキリジャ・セジィニ教授が、欧州においてイスラム教が抱える課題をテーマに発表しました。欧州への移民の増加によって、ヨーロッパにおける宗教的・文化的多元化が進んだ結果、社会が不安定になっている現状を報告しました。そして、結論として、同教授は「未来は、私たちが現在直面している障害に目を向けるのではなく、そうした課題を克服するために、一緒に解決策を見いだす努力によって開かれる」と訴えました。

このほか、「オーストリア平和・紛争解決研究センター」プログラムマネージャーのアウグスティン・ニコレスク氏は、SDGsが掲げる17の目標の中に、宗教や信仰に関する問題に対する直接的な言及がないことを指摘。それを補完する取り組みをするためにも、信仰をベースとした組織には重要な役割があると述べました。