九州平和大使協議会主催「九州未来戦略 平和政策学術フォーラム」

九州平和大使協議会主催の「九州未来戦略 平和政策学術フォーラム」が1月26日、オンライン形式で開催され、各界各分野の専門家・有識者、平和大使など約40人が参加しました。

同フォーラムは、政治、経済、学術など分野を超えた専門家が連携し、共に九州地方が抱える課題の解決を模索しながら希望ある未来を展望しようとの目的で企画されたものです。

フォーラムは、事務局の担当者が参加者を紹介した後、JR九州初代社長・会長の石井幸孝氏(=写真下)が「九州新幹線と日韓トンネル・朝鮮半島平和への貢献」と題して講演しました。

石井氏は冒頭、「長崎新幹線構想」について説明しました。長崎新幹線は、正式には「九州新幹線長崎(西九州)ルート」と呼ばれるもので、福岡市と鹿児島市・長崎市を結ぶ整備新幹線計画のうち、福岡市(博多駅)と長崎市(長崎駅)を結ぶルートを指します。

石井氏は、この長崎新幹線の経由先について、従来構想された佐賀駅ではなく佐賀空港の経由を検討すべきだと提案しました。その理由として、日本に現在、釜山、ソウル、北京といったアジア周辺のハブ空港に相当する空港がない点を指摘。福岡空港では滑走路の面積が小さく、夜間便もないため、物流の拠点となるハブ空港として十分に機能しないとした上で、代わりに新幹線が佐賀空港を経由することで佐賀空港をハブ化し、一大産業地点にできると述べました。

また、石井氏は新幹線物流についても意見を述べました。現在、鉄道の利用客が減少傾向となっており、コロナ禍でそうした傾向が加速すると分析。今後は新幹線による物流に注目が集まるだろうと主張しました。さらに、人口減少とIT化の進展もこうした傾向に拍車をかけるとの見方を示しました。

次に石井氏は、フォーラムのテーマの一つである日韓関係と朝鮮半島の平和にどう九州が貢献できるかといった視点から、日韓トンネルについて言及。日韓トンネルによって環黄海地域が直接連結されれば、北東アジアの国際物流の飛躍的な発展が期待されるとしました。特に、佐賀空港が高速鉄道、高速道路の一大ジャンクションとなっていくだろうと指摘しました。

また、かつてドイツが東西に分断されていた時代でも、西ドイツからの列車が東ドイツ領土内をノンストップで走行した後、西ベルリンに到着する鉄道が存在していた事例を引き合いに、石井氏は朝鮮半島の統一に時間を要するとしても、南北両国を結ぶ列車が行き来するようになれば、平和統一への機運が高まるのではないかと述べ、日韓トンネルとその延長としての南北鉄道の可能性について指摘しました。

石井氏の講演を受けて、千相哲・九州産業大学教授(=写真下)がコメントしました。

千教授は新幹線物流について言及しました。人の流れが減少傾向にあるという課題への対応として、石井氏が駅と空港の共存関係の構築を挙げたことについて「賛同する」と述べました。

また、千教授は日韓の交流人口について触れ、2018年に日韓の交流人口が1000万人を超えたことを紹介。1000万人を超えると、日韓トンネルの運営コストにおいて採算がとれるだろうと述べました。一方で、運営が安定的なものとなるには日本と韓国の相互交流がバランス良く行われることが重要だと指摘。そのため、日韓の間に横たわる政治的な対立の解消を望むと同時に、2022年の北京五輪などの交流を契機に日韓でトンネル建設への機運が高まることに期待を寄せました。

その後の質疑応答では、参加者から日韓両国とも人口が減少している今、国内の需要だけでは観光産業が成り立たないという声が上がりました。その上で、日韓トンネル建設への期待として、実現すれば鉄道、クルーズ船、飛行機など交通手段の幅が広くなり、観光の魅力も増すだろうとの意見が出されました。

最後に橋田紘一・九電工元会長がコメントしました。橋田氏は「九州は1つ」というスローガンを掲げてきたものの、これまでは今ひとつ一体感が持てなかったと振り返りました。そして、今後はフォーラムで取り上げられた日韓トンネル構想を中心として物流面に着目しながら、九州での生産・供給網の拡大を通じ、佐賀空港のハブ化などをめざして、名実ともに「オール九州」で九州活性化に取り組んでいくことが大切だと強調しました。