首都圏平和大使協議会主催「ILCオンライン特別懇談会」

首都圏平和大使協議会は3月18日、「朝鮮戦争と日本」をテーマにILCオンライン特別懇談会を開催し、各界各分野の専門家・有識者、平和大使など約500人が参加しました。

冒頭、司会の魚谷俊輔UPF-Japan事務総長が、今回のテーマである「朝鮮戦争と日本」について、昨年の朝鮮戦争勃発70年を前後して、これまであまり明らかにされてこなかった朝鮮戦争と日本の関わりを示すさまざまな情報や証言が取り上げられるようになったと指摘。朝鮮半島の平和的統一に関心を寄せる日本のUPF・平和大使協議会で、この問題について取り上げる意義を説明しました。
議論に先立ち、同協議会の田中富広議長が主催者を代表してあいさつしました。田中議長は、UPFの創設者である文鮮明・韓鶴子総裁夫妻が、朝鮮戦争に国連軍として参戦した16カ国に対し、その崇高な犠牲をたたえ、慰めと感謝の気持ちを表現するため、リトルエンジェルス芸術団を結成して、今日まで参戦国の元兵士らに対し慰問公演などの活動を行ってきたことを紹介しました。

また、田中議長は、友人の父親がこの戦争で機雷撤去の任務をこなしていたことを掃海艇の写真とともに紹介。日本が通訳や物資調達などの後方支援で果たした役割について、今回あらためて、その歴史的事実を知ったと述べました。その上で田中議長は、今回の懇談会を通して、平和を愛する日韓両国民が歴史の一コマに縛られることなく、未来を見据えた友好のあり方を考える良い機会にしていきたいと語りました。

続いて、3人のパネリストから発題がありました。

まず、第26代海上幕僚長の古庄幸一氏(=写真左)が、朝鮮戦争当時、米軍、国連軍の後方支援基地が日本にあり、そこから支援物資を貨物船で日本人が輸送していたという事実が最近、明らかになったことに触れました。

また、古庄氏は北朝鮮、中国が現在、活発な動きを続けていることについて、これに対応する日本の安全保障環境の厳しさについて言及。現在の法律では、自衛隊はこうした脅威に直接対応することができないため、法整備が急務だと訴えました。

次に拓殖大学主任研究員である高永喆(コ・ヨンチョル)氏(=写真下)が発題を行いました。

高氏は朝鮮戦争が日米韓の海洋国家と、ソ連(ロシア)、中国の大陸国家との戦いであったと分析し、そうした状況が今日まで繰り返されていると述べました。そして、現在の韓国に必要なのは、この時の教訓を踏まえ、日米同盟、米韓同盟が東アジアの平和と安全の2本柱であることを再認識することだと強調しました。

最後に、元航空総隊司令官の大串康夫氏(=写真下)が発言しました。朝鮮戦争の勃発について、大串氏はポツダム宣言受諾後、日本軍が撤収する際に、韓国が自らの力で統治できるよう十分な手はずを整えなかったことに原因の一端があるとの所感を述べました。

さらに、大串氏は朝鮮戦争が日本に及ぼした変化について言及。戦争が日本に特需をもたらしたとの見方は一面的だとした上で、異なる2つの観点を指摘しました。まず、米国による占領政策の転換によって、占領の目的である日本の民主化を妨げる勢力として共産主義が位置づけられ、レッドパージに切り替えられたこと。憲法9条で戦力保持を禁止する一方で、警察予備隊を発足することになり、これが今の自衛隊になった点に触れ、朝鮮戦争がなければ戦後の共産主義、社会主義の勢力が残っていた恐れもあるとし、日本自体が二分される事態もありえたとの見解を述べました。もう1つは、占領政策の切り替えにより、日本が「工業国家」の道を進むようになったことだと述べました。

大串氏はまとめとして、今後の地域安全保障の形として、日米韓が結束していかなければならないとし、朝鮮戦争を振り返る中で、共に東アジア地域の安全を確保するために行動するよう促していかなければならないと強調しました。

各パネリストの発題のあと、質疑応答の時間が持たれました。朝鮮戦争で日本が大きな役割を果たしたことが韓国にどのような影響を与えるかという問いかけに対して、現在の文在寅(ムン・ジェイン)政権下で、その事実がさらに明らかにされれば、韓国国内で反日の材料になる恐れがあるとの回答がありました。

続いて、日本大学名誉教授の小林宏晨氏がコメントしました。小林氏は憲法と自衛隊の問題について言及。現在の自衛隊が時間をかけて憲法に合致する形態を作りあげてきたとして、そのプロセスを評価する一方、現在の日本では学者と政治家がうまく議論の折り合いをつけることができない状況になっていると問題を提起しました。