近畿・中四国平和大使協議会主催オンライン懇談会

近畿・中四国平和大使協議会は3月20日、平和政策研究所(IPP)と共催で、各界有識者・専門家がネットを通じて討議する「ILC近畿・中四国オンライン特別懇談会」を開催しました。

主催者あいさつの後、神戸大学大学院国際協力研究科の木村幹教授が「変化する朝鮮半島と日本:朝鮮半島情勢をどう理解するか」と題して講演し、その後、有識者たちとディスカッションを行いました。

木村教授は冒頭、日本における韓国に関する報道にはバイアスがかかっており、悪いニュースしか報道しない傾向があるが、もっと客観的なデータを見て冷静に判断する必要があると指摘しました。日韓関係の悪化は1990年ごろから始まっているが、その原因は単に過去の出来事や謝罪にあるのではなく、貿易に占める日本のシェアが35%から7%に低下するなど、韓国にとっての日本の重要性が下がってきていることにあると述べました。

また慰安婦や徴用工を巡る日韓政府の食い違いは、日本の司法文化が法律解釈の安定性を重視する「司法消極主義」であり、国際法を憲法の上位に置くのに対し、韓国の司法文化は法律解釈に「時代精神」を読み込んでいくべきであるとする「司法積極主義」であり、自国の憲法は国際法よりも上位であるとする立場の違いにあると分析しました。

また、文在寅(ムン・ジェイン)政権は左派で、反日であるという捉え方が日本にあるが、現政権の対日政策は保守派も支持しており、政権交代が起きても日韓関係が改善することはないと指摘。日韓の間に力の差があった時代は既に過去となっており、日韓関係は「水平化」しているにもかかわらず、日本の中にまだ古い韓国観が残っていることが現状認識を難しくしていると分析しました。

続いて、元大使で京都日韓親善協会会長の天江喜七郎氏がコメントし、「文政権は北朝鮮との対話を重視しているが、日本も拉致や核の問題を抱えているので、これを日韓共通の関心事として、最高レベルで対話を行うべきである。韓国が北朝鮮と接近して連邦国家となり、反日の核保有国となったら日本にとって脅威なので、そうならないように常に韓国との関係は重視すべきだ」と述べました。

同志社大学グローバル地域文化学部嘱託講師の浅井良純氏は、日韓関係は南北関係と連動しているので、その視点から分析することが重要であると指摘しました。「慰安婦問題等が浮上して日韓関係が悪化した1992年頃には、北朝鮮は米国や日本と和解交渉を行っていた。日米韓が分断された状態で米朝交渉や日朝交渉が行われれば、交渉の主導権を握れると考えた北朝鮮の動きが、日韓関係悪化の背後にあった」と分析しました。