水野達夫元駐ネパール大使が講演

「非婚化晩婚化をどう防ぐか:日本生き残りの処方箋」をテーマとする「日本の未来を考える文化講演会」が9月19日、東京都多摩市内の会場で開催されました。主催は多摩東京平和大使協議会と「PEACE ROAD 2021 in TAMA TOKYO」。

講師は元駐ネパール大使で、PEACE ROAD 2021 in Japan中央実行委員長の水野達夫氏(=写真左)が務めました。水野氏は、日本の国難ともいえる少子高齢化・人口減少を扱った警世の小説『日本! 起死回生』(PHP・2019年)の著者としても知られており、家庭の大切さを訴えるとともに、さまざまな打開策を提示しています。今回の講演会が行われた多摩地域は、同小説の主人公である桜子が結婚後に居を構えた場所。日本の少子高齢化を考える上では象徴的な場所で行われた講演会には、地元の名士や平和大使など約40人が参加しました。

冒頭、UPF-Japanの魚谷俊輔事務総長(=写真下)があいさつし、講師の水野氏を紹介しました。さらに、来賓の東京都議会議員、多摩市議会議員のあいさつに続いて水野氏が講演しました。

水野氏は講演の中で、人口問題は世界的な視野で考えなければならず、諸外国が人口問題を国策の重要課題として位置づけ、政府が出産や子育ての問題に積極的に関わろうとしているのに対し、日本は個人の意思を尊重し、行政が干渉しないことが大きな特徴だと分析。「少子化対策」という言葉はあっても「人口減少対策」という言葉が語られることはないと指摘しました。

若者たちの非婚化の原因については、多くの識者が非正規雇用の増大などの経済的要因を挙げているものの、敗戦後の極貧状態であった1948〜49年の統計では270万人(現在の3倍以上)もの出生があったことなどを例に、収入の多寡よりもむしろ意識の問題が大きいと指摘。若者たちに対して親世代が、「結婚は素晴らしい」「子供を持つことは素晴らしい」というメッセージを語らなければならないと強調しました。

また、日本ではタブーになっている中絶の問題について、水野氏は「避けて通ることはできない」と主張。統計上、現在年間約16万人とされている中絶件数について(実数はその倍はあるとも言われている)、もしこうした子供たちが生まれていれば出生数は飛躍的に上がると述べました。

水野氏はこうした現状を踏まえて、日本は中絶問題と正面から向き合い、熊本慈恵病院の「こうのとりのゆりかご」(いわゆる赤ちゃんポスト=子供を自分では育てられない場合に匿名で赤ちゃんを預ける施設)のような赤ちゃんを生かす活動の事例にもっと学ぶべきだと強調しました。講演の後、参加者との活発な質疑応答も行われました。