元米国務省・六カ国協議担当大使のジョセフ・デトラニ氏が都内で講演

5月9日、UPF-Japanなどが主催する専門家、有識者の懇談会で、元米国務省・六カ国協議担当大使のジョセフ・デトラニ氏が講演しました(=写真)

「好戦的な北朝鮮とどう向き合うか」と題して講演したデトラニ氏は冒頭、北朝鮮との交渉の歴史を外交や金融などの側面から俯瞰した上で、「北朝鮮が核兵器を保持しようとする野望を止めることができなかった。しかも、この25年間で北朝鮮情勢は悪化してしまった」と明言。米国による北朝鮮政策を振り返ったのち、「私たちは25年間で何を学んだのか。1994年当時は米朝枠組合意が締結されたことを成果としてしまい、その後、北朝鮮への関与を怠ってしまった。安易に北朝鮮の体制が変わると思ってはいけない。両国で協議したものは、形になるまで継続して関与し続けなければならない」とし、「『戦略的忍耐』という名のもとで、北朝鮮問題を放置してはならない。日米韓が積極的に問題解決にかかわらなければならないし、中国が積極的に動いてくることを期待したい」と述べました。また、トランプ大統領が北朝鮮との協議に関して「すべての選択肢はテーブルの上にある」と表明したことについて説明。「トランプ大統領は北朝鮮と協議する意思を表明しているが、その大前提として、北朝鮮が核開発やミサイル開発を中止して、公平な協議がでなければ同じテーブルにつくことはないだろう」と分析しました。

デトラニ氏の講演に対し、参加者からも活発な意見や質問が出されました。米国から参加した専門家がコメントし、「北朝鮮の核開発を放っておけば、そのうち東アジアで核開発競争が激化する」「北朝鮮は国際社会に認められようと行動しているのではないか」などの分析や、国際テロ組織との関連やサーバー攻撃に対する懸念の声も聞かれました。

また、日本の参加者が「北朝鮮にさまざまなプレッシャーをかけ続けても解決は難しいと思う。北朝鮮とロシア、中国、韓国、米国、そして日本の間で平和条約を結ぶなど、政治的な解決は図れないのか」「過去25年間、北朝鮮と協議をしようとすれば、見返りを求められ、その度に米国は裏切られてきた。北朝鮮に関与し続けることが重要だとのことだったが、そのための(米国側の)保障についてどのように考えているのか」と質問したのに対し、デトラニ氏は「平和条約は公平な協議の上で成り立つもの。現在、北朝鮮は、その協議の場に着こうともしていない。平和に解決する自体は誰でも望んでいる」と回答しました。

さらに、「『金王朝』は国そのもの。体制を保存するために核兵器を持つしかないのが現実だ。それに対し、米国大統領が個人的に金政権を保障することはできないのか」との質問に対しては、北朝鮮情勢の専門家でジョンズ・ホプキンス大学のアレクサンダー・マンスロフ教授から「1994年に枠組合意ができた当時の米国はクリントン政権だったが、ブッシュ政権になると北朝鮮は枠組合意を破棄した。大統領が変われば個人的保障は無効になる。個人的保障は体制を変革させるほどの保障を与えることはできない」との意見が出されました。

(講演の詳細は「平和大使」7月号に掲載予定です。お楽しみに)