第98回超宗教フォーラム

東京都千代田区の会場で6月21日、宗教者平和大使協議会主催の第98回超宗教フォーラムが行われました。里見日本文化学研究所の金子宗德所長が「西郷が象徴するものと現下の日本」と題して講演し、参加した神道、仏教、キリスト教を代表する宗教者ら約30人が傾聴しました。

金子氏は、明治維新から150年にあたる今年、大河ドラマをはじめ西郷隆盛に注目が集まるなか、宗教者の西郷に対する評価を手掛かりに、私たちの進むべき道を探りました。

金子氏が取り上げた宗教者は、神道の葦津珍彦(あしづ・うずひこ)、キリスト教の内村鑑三と山本七平、仏教の田中智学の4人。

葦津は「西郷と共に死にたかった」と言うほど西郷に共感し、過去の歴史的人物としてのみならず、維新の情熱を掻き立てる今日的人物とみています。明治維新の偉大な変革をなしたとしても、あるべき維新の理想に向かって歩み、道義に生きた人物と称えています。

内村は、西郷のいう「天」にキリスト教でいう「神」との共通点を見出し、西郷を聖者として敬意を表しています。山本も西郷を聖者とみていますが、西欧キリスト教と対局的な「日本教の生んだ偉大な宗教人であり殉教者」といいます。

田中は、西郷が慕われる理由は、その主義にあると主張。朝廷に対する反抗に見える西南戦争も、権利思想一点張りの功利主義の政治を呪って徳政を布こうと、身を捨てての行動だったと理解できる、としています。

金子氏は4人の共通点として、西郷が絶対的存在としての「天」を見つめ、その意思にして絶対的規範としての「道」を歩む姿に共感していることを指摘。「絶対的存在」を否定する今日の世俗化した社会を憂いながら、「維新」が必要ではないかと問いかけました。

参加者からは、西郷の宗教的背景について、「キリスト教徒であったのか否か」などの質問が出されました。講師の真摯な応答と、興味深い議論に初参加者も感銘を受けていました。