平和大使協議会
7月8日に安倍晋三元首相暗殺という痛ましい事件が起きました。安倍元首相は、戦後日本の傑出した政治指導者であり、国際社会における日本の役割を国内外に明確に示した功労者でもあります。安倍元首相を失ったことは日本の国益を損ねるだけでなく、国際社会においても大きな損失です。心からのお悔やみを申し上げます。
この事件で逮捕された容疑者の犯行動機に、安倍元首相がUPFの行事に寄せたビデオメッセージが関わっているとの報道がなされましたが、事実であるとすれば驚きを禁じえません。引き続き捜査の行方を見守りたいと思いますが、いかなる動機であれ、犯行を正当化することはできないと思います。
安倍元首相の名誉のためにも明確にしたいのは、安倍元首相は国連NGOであるUPFの平和運動の取り組みを評価し、敬意を示してくださったのであって、特定宗教の活動にお墨付きを与えようとしたのではないということです。一部のメディア報道により、安倍元首相の名誉が不当に貶められていることは、まことに残念であり悲憤慷慨の念に駆られます。
事件発生から2カ月以上が経過しましたが、マスコミ報道は事件の真相解明という本来の役割から大きく外れ、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家の関係を暴露して糾弾するという、「魔女狩り」的な様相を呈するようになりました。それを受けて岸田文雄首相は自民党総裁の立場で、当該団体との「関係を断つ」ことを基本方針として発表するに至りました。私たちも当該団体の「関係団体」として一括りにされ、「絶縁宣言」を受けた形になっています。
私たちはこの発言を重く受け止める一方で、そもそも「社会的に問題が指摘されている団体」という定義が明確でなく、さらに、それよりも定義が不明確な「関連団体」との関係断絶を迫る自民党のこの度の決定には強い疑問と違和感を覚えます。
私たちには、共産主義をはじめとする脅威から国民の平和と安全を守らなくてはならないという強い使命感から、与野党を問わず志を共有する政治家を応援してきた歴史的経緯があります。国民全体の福祉のための活動であり、特定の宗教団体の利益に資するものでは全くありません。また、自民党の議員だから応援したということでもありません。私たちの掲げる反共、安全保障、平和、家庭を重要視する理念に賛同する政治家を応援し、政治活動を共にすることの一体どこに問題があるのでしょうか。政治活動の自由は憲法も保障しています。
志を共にする政治家への応援の見返りとして、私たちは政治家に便宜供与をお願いしたことはありませんし、それを受けたこともありません。私たちの目指す国づくりに近い政治信条を持っている政治家を純粋に応援したにすぎません。指摘されている政治家との関わりの内容も、祝電や会合への参加をはじめ、すべて通常のお付き合いの範疇を超えない関係であって、法的・倫理的になんら問題がないものばかりです。
私たちは微動だにしません。私たちがこれまで目指してきた世界平和に対する志は、今後も変わることはありません。混迷する国際情勢の中で、私たちの運動が担うべき役割を果たしていきたいと思います。国民や政治家の皆様には、その活動をもって改めて評価していただきたいと思います。